あなたには、きれいな歯だなと感じる人はいますか?
もしくは自分の歯に自信を持てますか?
自信を持ってYESと答えられる方はそう多くないと思います。そんな方の悩みを解決するのが歯科医の仕事なわけですが、今回はきれいな「前歯」についてお話しします。
実はきれいな「前歯」にはいろんな基準があります。
我々歯科医師が、前歯のかぶせ物治療を行うときには、その条件や基準に沿うよう治療をすすめていきます。
基準がないと、再現性がないので狙ってきれいな歯を作れないですもんね!
それでは具体的にどのようなものがあるのか見ていきましょう!!
こちらの写真をご覧ください。
きれいな前歯に必要なものは、歯並びが揃っていることは大前提として、さらに
・歯ぐきのラインが左右対称(写真の黒い線)
・歯ぐきの高さが前から順に「高い・低い・高い」の位置関係になっていて左右対称(写真の黄色い線)
などが挙げられます。
もちろん他にもたくさんの基準がありますが、この2つだけでもご理解いただけたら、ちょっとおもしろいことがわかります。歯がきれいなイメージの芸能人。彼らの歯がこの2つの基準を満たしているかテレビを見てみてください。意外にも被せ物で無理やりきれいにしている場合があるのがわかります。
ぱっと見はきれいに見えますが、2つの基準を満たせていないので歯科医の目から見るとあまりきれいには見えないわけです。
なぜ歯ぐきのラインが乱れているのに歯がきれいに並んで見えるのか。それは歯ならびを変えないまま被せもので無理やり歯を分厚くし、正面からみて歯が並んでいるようにしているだけなのです。いわゆるセラミック矯正というやつです。ここではあまり詳しく言及しませんが、セラミック矯正は適用が狭く、あまりお勧めはしません。
ちょっと話がそれたので話を戻すと、
そもそも歯並びが整っている人は、自然ときれいであるための条件は満たされています。
歯並びがきれいな人をあつめて、共通している部分を探し出してまとめたのがこの条件だから、なんです。
基本的には左右対称の歯がきれいとされています。しかし、完璧に左右対称な顔が存在しないのと同じで、歯もそこまでシビアに左右対称が求められるわけではありません。
ちなみに実際、どれくらい左右対称でなくても大丈夫か、を調べた論文があります。
こちらです。
この文献では、写真を加工して前歯を1mm単位で左右にずらしていきます。どこまでズラしたら違和感を抱くのかを調べています。
結果はこちら。矯正医は、上の前歯の真ん中が顔の真ん中から4mmズレて初めて違和感があるとしています。さらにこの論文のおもしろいところが一般の方の感覚も調べているところなんです。歯科業界に無縁の一般の方からすると、このズレは4mmではわからなかったとのこと。つまり、矯正医と一般の方でズレに対する寛容さが、かなり大きいことがわかります。
普段から歯や口元ばかりみているので、真っ先にそこに目がいってしまうのが歯科医の性・・・
しかし、自信をもって笑顔になっていただくために日々技術や知識を更新し、患者様に貢献できるようがんばります!!